自作の酒

以前、隣町に住む知り合いの方(Aさん)に酒造りの相談を受けたことがあります。「君、行政書士だったよね?ちょっとお酒のことで調べてもらいたいんだが」との前置きから相談を受けた。「田舎にいたガキのころ、親戚と酒造ってたことがあって、最近暇だから(数年前にAさんは定年退職している)酒を造ってみようかと思っている。家の物置きで焼酎を造りたい。ついでに販売したい。免許とか軽く調べてみてくれる?30万くらいで免許とれるならいいんだが」

酒税法

そう言われて調べてみました。結論からいえば、Aさんには製造免許はおりません。免許には『最低製造数量基準』という聞きなれない基準がありました。

そもそも、現在では酒税は税収入全体に占める割合は2%ほどにすぎませんが、かつて明治時代後半は30%以上もあり、日清・日露戦役の貴重な税収源であったらしいのです。その名残りでしょうか。国税は小規模な事業者には免許は与えず、大規模な業者に免許を与えようとします。(納税のため?)バンバン儲けさせるため、採算性を確保し、製造コスト回収のために必要な水準を国税当局が定めたのが『最低製造数量基準』らしいのです。

年間最低製造量。(この量以上を製造しないと免許は出ません)例を少々。ビール、清酒、焼酎は60キロリットル。(平成6年以前は2000キロリットル‼でした)果実酒6キロリットル。

60キロリットルは350ml缶で17万本、一升瓶3.3万本です。この数量を個人で製造・出荷できませんよね。そして、酒税法では酒の製造所から移出時に課税されることになっています。

勉強になりました。

Aさんに以上の事をお伝えし、関連資料をお渡ししました。当然、自宅の物置きでの酒造りは断念しました。ただし、趣味で梅酒を造ることくらいは許されていることをお伝えしたので(販売目的でないこと、酒税納付済みの酒に梅を漬ける、等の要件を説明)その後、ご自宅の台所で楽しんでいるのでしょう。

こうして、ちょっとしたことで調べてみると新しい発見があります。最低製造数量基準なんて初めて知りました。ついでに酒税法の歴史についても。Aさん、ありがとうございました。おかげさまで勉強になりましたよ。